発達障害の児童は言葉を話すこと、聞くこと、文字を読むこと、書くことが苦手です。
話すこと、聞くこと、読むこと、書くことなど、言葉は人間が生きていく上でとても
大切な役割をします。
絵本の読み聞かせは発達障害の児童の言葉をとても大きく育んでいきます。
私は、ある発達障害児が小学3年生から中学3年生になるまでの7年間,週3回、読み聞かせをしてきました。
その結果、絵本の読み聞かせは発達障害の児童の言葉を大きく変化させたのです。
この記事ではその体験をもとに、絵本の読み聞かせは発達障害の児童の言葉にどのように働くかをご紹介させて頂きます。
絵本の読み聞かせは発達障害児に効果があるの?どう働くか紹介!
発達障害の児童は、たいてい本を読むことは苦手です。文章を書くこと、作文も苦手です。
しかし、絵本の読み聞かせを発達障害の児童に継続していくと、その子は本を読むことが好きになり、文を綴ることも好きになったのです。
私が7年間発達障害の児童に読み聞かせをしたのは、その児童が小学3年生から中学3年生になるまでの7年間でした。
その結果、言葉に対して以下のような効果がありました。
- 言葉を聞くことが好きになる
- 言葉を声に出して発したがる
- 言葉を読みたがる
- 言葉を綴りたがる
それは、このようにつながっていきます。
1聞く 2話す 3読む 4書く
好きになることが、何でも上達の第一歩だと言います。
絵本の読み聞かせは、発達障害 の児童を聞くこと、話すこと、読むこと、書くこと
を好きにさせます。
絵本の読み聞かせは、言葉の土台を築くことが出来るのです。
なぜ、読み聞かせは発達障害の児童の言葉に効果があるのでしょうか。
それは、まず読み聞かせは楽しい、面白い、心地よいからです。
ですから、絵本の読み聞かせは、発達障害の児童の言葉を自然に育む効果があるのです。
言葉を聞くことが好きになる
言葉の習得は、聞くことから始まるのです。
言葉を聞くこと
それが第一歩です。
言葉を習得するのは、音声、つまり声の言葉を耳から聞いて習得するのです。
生まれたばかりの赤ちゃんは、母親や父親の愛情のこもった声の言葉を毎日繰り返し浴びせかけられます。
その愛のこもった声の言葉は赤ちゃんに幸福感を与えます。
同じ様に愛のある読み聞かせは、発達障害の児童の耳に心地よく響きます。
心地よい、幸福感を感じることは、何度でも体験したくなるのです。
そんな絵本の読み聞かせを、何度も何度も体験した子供は、やがて言葉を聞くことが好きになります。
これが、言葉の発達の極めてたいせつな第一歩です。
言葉を聞くことが好き!
読み聞かせにはそんな効果があるのです。
言葉を発したくなる
絵本の読み聞かせで、心地よい言葉をたくさん聞いた子供は、やがて言葉を真似します。
子供は、読み聞かせで聞いた同じフレーズを繰り返し発したりします。
そして、言葉のひとまとまりの単語を覚え、文を覚えます。
しかし、それから、こうして、けれども、また、などの接続詞なども、文の流れの中で自然に入ってきて、感覚として感じ取っていくのです。
沢山言葉を聞いた子供は、やがて言葉を発します。
言葉にはリズムがあります。歌のように!
読み手によってリズムのある言葉を沢山聞いた子供は、やがて言葉を発するのです。
ちょうど歌のように!
言葉を感覚として自然に覚えるのです。
発達障害の子供は、読み聞かせによって言葉を声に出して発するようになるのです。
文字を読みたくなる
絵本には、絵と言葉が添えてあります。
絵本の読み聞かせは、声の言葉と、絵と、文字の言葉です。
その三つの要素は、言葉を習得する大きな助けになります。
例えば、赤いリンゴ
と、声の言葉だけ聞いたとします。
声の言葉だけだと、赤いリンゴとはどんなものか分からない子供にはイメージ出来ません。
そこに赤いリンゴ、の絵が添えられていると、赤いリンゴはこんなものと認識できます。
そしてまた、赤いりんご と文字の言葉が添えられていると、赤いりんご という文字の言葉を目で覚えることができます。
そして、覚えた文字を自ら読みたがるようになるのです。
発達障害の児童は、絵本の読み聞かせによって文字を読みたがるようになるのです。
文を綴りたくなる
絵本の読み聞かせは、日常の事、あるいは見たこともない世界のことなど様々内容が溢れています。
絵本の読み聞かせによって、子供は自分をその物語の主人公のようにみたてるようになります。
まるで、その物語の主人公のように身の回りの世界をみます。
また、沢山の感動的な物語やお話は、子供の心を深く耕します。
子供の心の中に感性が培われていくのです。
そうした心は、日々の日常で敏感に何かを感じ取る繊細な心を築き上げ、自分の内に湧きおこってくる様々な感情を言葉によって外へ放出したくなるのです。
それが、文章となります。
日記、詩、作文など。
文の綴りは、自分の内面の湧きおこったことを表現して、誰かに伝えたいと思ったとき、本当に文を書きたいという気持ちが湧きおこるのです。
絵本の読み聞かせは、発達障害の児童の内面に働きかけ文を綴りたくさせるのです。
発達障害児に7年間絵本の読み聞かせをしたらどうなった?
絵本の読み聞かせは、発達障害の児童にどんな働きをするのでしょうか。
私が7年間継続して読み聞かせした発達障害の児童についてご紹介させて頂きます。
絵本の読み聞かせは、やがて読みあいに発展しました。
また、絵本から絵のない本、詩へと広がりました。
そして、自ら詩を沢山書いたり、私に手紙を書くなど文を綴るようになったのです。
また気が付けば、文の飛ばし読みや、言葉の間によく(っ)を入れて読むことがなくなっていました。
発達障害児に7年間読み聞かせした結果をまとめてみると以下の通りです。
- 聞くことが好きになった
- 文を読みたがるようになった
- 文の読みがスムーズになった
- 文を綴りたがるようになったなった
このように絵本の読み聞かせは、発達障害の児童の言葉を大きく育んだのです。
絵本の読み聞かせから読み合いへ?
私が7年間絵本の読み聞かせした児童は、文章を読むことが困難でした。
飛ばし読みが多く、また、言葉と言葉の間に(っ)を入れて読む癖があり、言葉の区切りもよくわかりませんでした。
しかし、絵本の読み聞かせよって、スムーズに読めるようになったのです。
私は児童の気に入った絵本は何度も読み聞かせしました。
やがて、好きな場面を
『ここは、自分が読む!』
と言って自ら読みたがるようになったのです。
私と児童との絵本の読み合いです。
絵本から、絵のない本、そして詩などへと広がっていきました。
詩は、くどうなおこさんのシリーズを気に入り自ら朗読をしたがるようになりました。
気が付くと文章を読むことがとてもスムーズになっていたのです。
絵本の読み聞かせによって、自然に言葉のまとまりや文の区切りが身につき、いつの間にか読みが上手になっていたのです。
言葉を紡ぎだすこともある!
私が7年間絵本の読み聞かせした児童は、聞くことが好きになり、文を読むことも好きになっていきました。
やがて、この児童は自ら明るい元気な詩を書くようになったのです。
とても楽しそうに詩を書いて、私に見せるようになったのです。
そして、詩を読んで私に聞かせたりしました。
また、私に手紙をかいたり、私だけではなく私の家族などの事を聞きたがり、その家族宛てにも手紙を書くようになったのです。
それは絵本の読み聞かせによって、物語として捉える見えない相手をも思いやる心が育まれたからでしょう。
その内に湧く想いを伝えたい。
それが言葉を綴ることとなっていったのでしょう。
まるで言葉を紡ぎだすかのように。
絵本の読み聞かせはADHDにどう働きかけたの?まとめ
絵本の読み聞かせはADHDの児童にどのように働きかけたのでしょうか。
それは、ADHDが言葉に親み楽しんで、自然と言葉を育むという働きをしたのです。
初めの段階の言葉の習得は、本来知的なものではなく生理的なものと言えるでしょう。
人は何かを考える時でも、言葉を使って考えます。
何かを伝える時も言葉を使います。
本来、言葉は自らの内面を表したい欲求の手段ではないでしょうか。
聞くことが、ADHDの児童の内面を満たすのであれば、子供は聞く耳を持つでしょう。
自らの内に湧き出づる想いが高まれば、言葉で伝えたいでしょう。
聞くこと、話すことそれが言葉の基本だと言えます。
そのうえに、文字を読むこと、書くことが繋がっていくのです。
その土台を作ってくれるのが、読み聞かせだといえます。
絵本の読み聞かせはADHDの児童の言葉の基礎を培う大きな効果があるのです。