子供の絵本の始まりはいつなのでしょうか。そしてその目的は何だったのでしょうか。
絵本の始まりは1658年チェコのコメニウスという思想家が作った世界図絵というものでした。
この世界図絵は、初めての絵の入った教科書でした。
では、この絵本の始まりと言われる世界図絵をコメニウスはどんな目的をもって作ったのでしょか。
それは、一言で言うと子供の幸せのためです。
子供たちが、楽しく笑顔で興味を持って学ぶことが出来るようにしたいにという思いです。
そこで考えついたのが、教科書に絵を入れて、子供たちを楽しく勉強させる方法だったのです。
世界で初めての絵本、世界図絵はコメニウスが子供が楽しく勉強できるようにと考えられた画期的な教育方法だったのです。
この記事では、世界図絵が出来る前までの、学校の様子とコメニウスの絵本に秘めた子供への想いについてご紹介させて頂きます。
それによって、普段何気なく手にとっている絵本の価値を新たにより深く感じることが出来るでしょう。
子供の絵本の始まりはコメニウスによる世界図絵!
子供の絵本の始まりは、1658年、チェコの教育思想家コメニウスによって作られた「世界図絵です。
今日では、絵の入った教科書はごく普通の事となっていますが、当時絵の入った教科書はまだなかったのです。
この「世界図絵」が絵本の始まりであり、また世界初の絵入りの教科書でもあります。
それまでは、子供の絵本は世界中に存在してなかったのです。
では、何の目的でコメニウスは絵入り教科書、絵本を考案したのでしょうか。
それまでは、勉強は文字だけによるものでした。
それに絵を加えることで、子供たちが楽しく勉強できるようにという目的で絵入り教科書を出版したのです。
絵本の起源「世界図絵」について
世界初の絵本「世界図絵」は絵入りの教科書として出版されました。
それまでは文字だけで、学習する方法だったのです。
今ではごく当たり前の絵本や、絵入りの教科書ですが、子供の絵本や絵入りの教科書は世界中にまだ一冊も存在しなかったのです。
ですから、この絵入り教科書世界図絵はとても画期的なものだったのです。
この世界図絵は、初めラテン語とドイツ語っで書かれていましたが、様々な言語に翻訳されたちまち世界中に広がりました。
この17世紀にコメニウスによって出版された「世界図絵」は18世紀には聖書につぐ大ベストセラーとなりました。
コメニウスは「絵本の父」と呼ばれています。
この「世界図絵」には、あらゆる事柄と人間の活動などが、絵で描かれていて、文字で説明がなされています。
17世紀頃の学校の様子はどうだったの?
17世紀頃の学校の様子はどうだったのでしょう。
学校での勉強のさせ方は、教師が生徒に教え込むという方法が主流でした。
教科書はすべて文字で書かれていました。
当時、教師が生徒を厳しく指導するということが当たり前でした。
鞭の音、教師の怒鳴る声、そして声を上げて泣き叫ぶ子供、またはすすり泣きする子供、その光景は日常のことだったというのです。
教育は教師による体罰が伴いました。
肉体的な苦痛を伴う体罰を与えることで、子供たちを教育していたのです
コメニウスはどうして絵入り本「世界図絵」を考えたのか?
教師による厳しい体罰を伴う教育が施される中、コメニウスは体罰による教育を否定しました。
彼は、子供の心に楽しみや喜びを引き起こすことが大切だと考えました。
そして、当時の教え込むということが主流である教育方法を否定し、子供たちが学習する対象に注意力を向け、楽しみながら知識を学ぶことが出来る教育方法を考えたのです。
教え込むのではなく、子供の知識欲を育てることが重要だと考えたのです。
彼は、感覚を通して子供たちを教育することを考えました。
「感覚の中に存在しないものは、何事も理性の中に存在することはありません。」
と主張しました。
そして、勉強のさせ方を感覚に訴える方法として、絵を用いたのです。
それまでの言葉だけの勉強方法に感覚を通して学ぶ方法を加えたのです。
彼はこう述べています。
「子供たちは絵を見ることが好きだ。そして、その中から物事を自由に空想し創造する力を持っている。」
コメニウスは、それまでの文字だけの勉強のさせ方、体罰と苦痛を伴う勉強から、絵入りの本を使うことで、子供の感覚に訴え、楽しく分かりやすく、興味を引き起こす勉強のさせ方を考えたのです。
子供が楽しく学べるようにと考えたのが、世界初の絵本でありまた、絵入り教科書でもある「世界図絵」なのです。
絵本の始まりに込めた思いは今も生きている!
子供の絵本の始まりは「世界図絵」です。
「世界図絵」は、絵入りの教科書の始まりでもありました。
それは、コメニウスの子供たちへの深い愛情から生まれたのです。
子供たちは、絵を見るのが好きである。
感覚に訴えて、子供たちの好奇心を引き出し自然に学びへと導きたいという思い。
決して苦痛を与える方法ではなく、子供が楽しんで喜んで学べるようにと。
コメニウスによる世界初の絵本、世界図絵はそんな思いから作られました。
その絵本に込められた思いは、多くの人の共感を受け今に引き継がれ、そして発展しています。
現在は多くの絵本作家、画家により多種多様な絵本が存在します。
絵という視覚に訴える方法は、子供たちが生きる周りのすべてを認識するのに大きく役立っています。
では現在、感覚に訴え知識を習得する絵本はどんなものがあるでしょうか。
細かく挙げると沢山ありますが、以下の3点に絞って見てみましょう。
- 数を教える
- あいうえお 五十音を教える
- 色や形を教える
などがあります。
絵本で子供の視覚に訴え数を教える
絵本で子供の感覚に訴え知識を習得させる絵本として、まず挙げられるのが数を教える絵本があります。
数の絵本の特徴は、数を数えるのに子供たちの興味の引く絵を用いていることにあります。
美味しそうなケーキが一つあります。
美味しいリンゴが一つあります。
または、可愛い犬や猫などを描いて増やしていき数を教えることがよく見られます。
もし、その数を言葉だけで教えるとしたらどうでしょうか。
ある程度までは、説明できるかもしれませんが段々数が増えてくるととても言葉の説明だけでは困難ではないでしょうか。
絵が入っていることで、子供は簡単に数の概念を認識できしかも子供の興味を引く絵が描かれていることで楽しく数を覚えることが出来るのです。
子供の感覚に訴えて楽しく五十音を教える絵本
絵本の絵を通して子供に知識を与えるものとして、五十音を教える絵本があります。
五十音 あ から始まって ん で終わる。
絵本は あ という文字を教えるのに あ という文字だけではなくやはり子供の興味の引くものや身の回りのものを絵にして学ばせています。
例えば、あ は、アヒルの あ アリさんの あ 飴玉の あ、というように。
子供は、ひらがなと同時に可愛い絵が目に写り、楽しい気持ちになるのです。
もし、ひらがなだけだとどうでしょうか。
勉強の好きな子供は、やっていけるでしょうがそうでない子供は退屈を感じてしまうかもしれませんね。
興味の引く絵を入れることで、子供たちが楽しくワクワクとした気分になってひらがなを覚える工夫がなされているのです。
色や形を教える絵本
絵本で色や形を教える絵本があります。
色を教える時、もし言葉だけならどうでしょうか。
例えば、青という色を教えるとします。
青と言えば何が浮かびますか。
空の青、海の青ですね。
空のない所に住んでいる子供はいないでしょう。
青は、空の色だよー。と教えたとします。
空ってなあに?
子供は空が分からないかもしれません。外に出て上を見たら広がっている。
そう答えたとします。その時、曇っていたら、または夜だったらそれは認識できませんね。
絵で青空を描けば一目瞭然です。
海の青、といっても山間部に住んでまだ海を見たことのない子供だったらイメージできませんね。
青い海の絵で示すとすぐに認識出来るのです。
形もそうですね、形を言葉だけで教えるのも難しい面がありますよね。
このように現在は、絵で子供の感覚に訴え知識を習得させる絵本が豊富になりました。
子供の絵本の始まりはいつで目的はなに?まとめ
子供の絵本の始まりは1658年コメニウスによって考案された、「世界図絵」です。
世界で初めての絵入りの教科書であり、初めての絵本です。
子供の絵本が世界中にまだ存在してなかった17世紀の半ば初めて絵本が出来たのです。
その目的は、子供が楽しんで意欲的に知識を習得できるように感覚に訴える教育方法でした。
そして、それは世界中に広がり子供たちの学びを大きく変えました。
その精神は、今に引き継がれ多くの絵本作家によって、数多くの絵本が溢れています。
それはとても幸せなことです。
一人の人間の考案が世界中の子供たちに楽しみと喜びを与えたのです。
絵本の始まりは17世紀、コメニウスによって考案され、子供の感覚に訴え喜んで楽しんで意欲的に学ぶことが出来るようにという目的で作られたのです。