絵本の読み聞かせは学力に影響する!ということをよく耳にします。それは、本当でしょうか。
しかし、以前絵本を日々実践しているあるお母さんからこんな話を聞いたことがあります。
「絵本の読み聞かせで学力が上がるなんて絶対ありません。もし、そうだとしたらうちに子はみんな成績優秀になっています!」
ある小学生を対象にした学力の調査で、絵本の読み聞かせをよくしている子供の、国語、算数の成績はしてない子供よりも高いという報告がありました。
けれども、それは絵本の読み聞かせをしている家庭の親は子供の教育に熱心でその影響があるとも考えられます。
では、絵本の読み聞かせは学力とは関係ないのでしょうか。
絵本の読み聞かせは、他の子供との比較ではなく、その子供個人の学力の土台に影響を及ぼすと言えます。
私はある児童が小学3年生から6年生になるまで、絵本の読み聞かせをした結果、興味関心に大きく影響があることを実感しました。
興味関心は、学力の土台を形成します。
ここでは、絵本の読み聞かせと学力の影響について、特に学力の基となる興味関心に焦点を合わせてご紹介させて頂きます。
絵本の読み聞かせで学力はどのように影響するの
絵本の読み聞かせは子供の学力に影響します。
絵本の読み聞かせは他者との比較ではなく、個人個人の子供の学力を育む上で大きな影響があるのです。
学力の測定は普通学校で学ぶ範囲内をどのくらい達成できているかということですが、絵本の読み聞かせはによる学力への影響はその範囲ではなく、学校のテストでは測れない場合もあります。
絵本の読み聞かせの対象の世界は広く、広い意味での学力に影響すると言えるのです。
では、なぜ絵本の読み聞かせは広い意味での学力に影響するのでしょうか。
それは、絵本の読み聞かせで子供は様々な世界を疑似体験するからです。
その疑似体験は、単に知識だけではなく感情をゆさぶり興味関心が湧きおこります。
興味関心は、学力をつける上でとても大事な土台となるのです。
では、なぜ絵本の読み聞かせは興味関心を引き出すのでしょうか。
以下にまとめてみました。
- 絵本は、まだ行ったことのない世界を旅することが出来る!
- 絵本はまだ味わったことのないものへの憧れを引き出す!
- 絵本は日常では会えない人に出会うことが出来る!
絵本の読み聞かせによって様々な疑似体験をし、興味関心が湧きおこりそれが学力に良い影響を与えることに繋がるのです。
絵本で行ったことのない世界を旅することが出来る!
絵本には、世界のいろんな国の事が描かれています。
例えば、子供たちの大好きなクリスマス。
クリスマスに関する絵本によく登場するのがサンタクロースです。
サンタクロースは北の国から、トナカイのそりに乗って赤い袋にプレゼントを沢山もってやってきます。
北の国は雪に覆われた寒い国、フィンランド。
素敵な絵で描かれた絵本は、まだ行ったことのない寒い、フィンランド国へとの子供たちを連れていってくれます。
また、スーホーの白い馬という絵本があります。
それは、中国の北のモンゴルのお話。
草原が広がり、人々は牛や馬、羊を飼って暮らしているモンゴルの国。
そんな行ったことのないモンゴルの国へ絵本の読み聞かせは、子供たちを連れ出すのです。
絵本の読み聞かせによって疑似体験した国々への興味関心が湧きおこります。
それは、地理の教科で世界の地図や気候そこに住む人々などを学ぶ上での意欲にもつながっていきます。
絵本は味わったことのないものへの憧れを引き出す?
絵本には、食べ物について描かれた絵本があります。
たとえば、ぐりとぐら。
ぐりとぐらは森で大きな卵を見つけカステラを作るお話。
子供たちは、大きな卵、何の卵なんだろう?
鶏の卵よりどのくらい大きいんだろう?
自分も森に卵を探しに行ってみたいなー
そして、何といっても美味しいカステラ!
ああ、食べてみたい。どんな味?
などと、想像をふくらませます。
山で拾ったということから山への関心や、生き物の卵への関心は理科的な興味関心の小さな芽となりうるのです。
また、何といっても美味しいカステラ!ぐりとぐらのように自分も作ってみたい。
食べることと料理への憧れ!
それは、家庭科の教科に対する興味関心にもつながるでしょう。
絵本は日常では会えない人に出会うことが出来る!
絵本の読み聞かせは、日常では会えない人と出会うことができます。
遠い外国の人、子供から大人、老人、また、違う時代に生きていた人など。
そして絵本の内容に描かれているストーリーによって、その人物の生き方、考え方に触れるのです。
そうした体験を数多く重ねることで、人は物語を持っているということをなんとなく感じていきます。
それは、歴史上の人物にも当てはまります。
普通、単に暗記してしまう歴史上の人物にもストーリー性を感じてみる捉え方が生まれてきます。
絵本の読み聞かせは、歴史上の人物への興味関心を引き出す基にも繋がっていくのです。
絵本の読み聞かせの学力への影響をある児童の実例から紹介!
私が絵本の読み聞かせをした児童は、学力はではかなり厳しく、勉強に対する興味関心もあまりありませんでした。
しかし、絵本の読み聞かせを3年ほど継続した頃から、かなりの良い影響がみられました。
絵本の読み聞かせにより、興味関心が湧きおこり、学力の土台を作ったのです。
絵本の読み聞かせよって、どのような影響があったのか以下にまとめました。
- 読み聞かせで出てきた外国に興味を示した
- 読み聞かせで出てきた食べ物に憧れを感じた
- 読み聞かせによって、人に対する興味が深まり歴史上の人物を全て覚えた
それらは、このような教科へとつながります。
- 外国への興味は地理
- 食べ物にへの憧れは家庭科
- 歴史上の人物は歴史
絵本の読み聞かせは、興味関心を引き出し学力の基盤を作ることに影響を与えたのです。
絵本で体験した外国への関心を示す
私が読み聞かせを継続実践した児童は、読み聞かせによって、外国への興味関心を示しました。
外国といえば、教科でいうと地理です。
クリスマスの絵本に、トムテンのミルクがゆ というのがあります。
北欧の国、スウェーデンのお話。
サンタクロースの小さな妖精であるトムテンは、その家の納屋に住んでいて、そこの家の家族と家畜を守っている。
クリスマスイブに、特別のお粥、ミルクがゆをトムテンのために家の外へ置いておくと、次の年もトムテンはその家族と家畜を守るというお話。
私がこの絵本を読み聞かせすると、その子はとても北欧の国に関心を寄せました。
トムテンのいる、北欧の国、に行ってみたい!と。
北欧の国、スエーデン、ノルウェー、フィンランド。
そして、地球儀を持ち出してどこにあるの?
と探し始めたのです。
地理への興味関心の芽が生まれました。
まだ味わったことのないものへの関心を示す!
私が読み聞かせを継続実践した児童は、このトムテンのミルクがゆにはとてもひきつけられていました。
クリスマスイブにトムテンのために外に置いておくミルクがゆ。
このミルクがゆに憧れのような感情を抱いていました。
北欧の国、白い雪の上にトムテンのために置かれたミルクがゆ。
お皿の中に注がれた、美味しそうな熱いミルクがゆ。
その子は何度も言いました。
ミルクがゆ どんな味がするのかなー?
どんな風に作るのかなー?
いつか作ってみたい!
絵本の中の味わったことのない食べ物への憧れ!
教科でいうと、家庭科の料理を作ることへの意欲関心に繋がっていきますね。
歴史上の人物への関心を示し人物を全て覚えた!
私が継続して読み聞かせした児童は、6年生で学ぶ歴史の人物に大きな関心を示しました。
そして、6年生で学習する歴史上の人物を顔と名前とエピソード全て覚えたのです。
これは、非常に驚きでした。
絵本の読み聞かせで、そこに登場する多くの人物に触れるうちに、人物の背後にあるストーリー性を感じるようになったのでしょう。
特に聖徳太子に魅了され、自ら学校の図書館から聖徳太子の漫画本を借りて読むようになりました。
そして、聖徳太子がすごくカッコイイと言って、タイムマシーンに乗って聖徳太子の会いに行きたいと言ったのです。
夏休みの自由研究で、社会の教科書に載っている歴史上の人物を取り上げました。
人物の顔のイラストと名前、エピソードを書いて、なんと全て覚えてしまったのです。
単に暗記しているのではなく、とても愛着を感じているようにに受けられました。
絵本の読み聞かせを継続した、大きな影響が歴史の教科にも表れたのです。
絵本の読み聞かせは学力に影響する?まとめ
絵本の読み聞かせは、子供の興味関心を引き出し学力に良い影響を与えます。
学力というと、普通学校のテストの得点を考えます。
けれども、学校のテストは一つの物差しです。
教科書を中心にした、達成度となります。
絵本で得た知識は、教科書の範囲ではありません。
絵本の読み聞かせに影響された、興味関心は直接テストに反映されるものではないかもしれません。
けれども、広い意味で学力をとらえた場合、確実に絵本の読み聞かせは大きな影響を与えるのです。
また、学力というのを他者との比較ではなく、個人個人の成長という観点から見た場合でも、絵本の読み聞かせは、確実に、興味関心を湧き起こし学力に大きく影響すると言えるのです。